命令・上司から部下へ10のお題
1.明日、出てきてちょうだい
「……なんで俺?」
俺、支倉和樹(はせくら・かずき)。
27歳、独身のしがないサラリーマン。
たいてい、どのジャンルどの企業でも年がら年中忙しい部署ってものはあるもんだ。
俺が就職した企業の場合、企画課と営業部が最たるもので。
俺は当初の希望では外商部だったにも関わらず、何の因果か営業部に回された。
理不尽……と思いつつ、なんとか仕事をこなしていくうちに主任補佐なんて肩書きがつくようになった。
これは喜んでいいのか悪いのか。
それでもって。
うちの営業部には多くの女性社員がいるけどその代表とも言うべきは、部長の存在だろうな。
氷崎綾香(ひさき・あやか)部長。
彼女の詳しい年齢は、営業課社員のほとんどが知らない。
俺が入社した時にはすでに営業部の部長の椅子に座っていた。
仕事はかなりできるらしいが、いかんせん年齢不詳だ。
ちなみに婚歴も不明らしい。
まあ美人だって事は認めるけど。
革張りの椅子に座った時の、スーツから覗くすらっとした脚が組まれるのを密かに好きな男も多い。
逆らいがたい雰囲気も手伝ってか、女王様然と営業部に君臨し、俺たちをこき使う。
だけど不思議と、悪い上司ってやつじゃあない。
部下の進言や提案なんかもちゃんと聞いてくれるし、事前事後のフォローはソツがない。
たまーに理不尽な事もあるけどな。
いきなりの出張命令とか。
「……くら。支倉。あなた聞いているの?」
……いけね、呼び出されてた最中だった。
「聞いていますよ、部長」
「あらそう、なら問題ないわね。明日、出てきてちょうだい」
「…………は?」
俺は不覚にもマヌケな声をあげた。
そして表情もマヌケだったんだろう。
氷崎部長が僅かに眉をしかめた。
「私、確認を取るために聞いたはずよね? 明日土曜は暇かと」
「ええ、それは覚えてます」
かろうじて言葉をひねり出す。
確かに明日について聞かれはした。
そして特に用事はないから暇だとも答えた。
――が。
それが休日出勤についての問いかけだなんて、俺は一言も聞いてない。
「暇だというから仕事を与えるだけよ。納期は迫っているんだから、さっさといきなさい」
「……はい」
「いいこと? 明日は必ず出社するのよ」
「…………はい」
追い返されるように、俺は席に戻る。
……訂正。
理不尽な事はたまにじゃない。
どこに転がっているか、わかったもんじゃねぇ。
End.
あとがき
えーと……
ごめんなさい、ノリと勢いだけで書きました(汗)
webをうろちょろしていた時に見つけて、思い切り惹かれたのが書くきっかけでした。
お題を見て情景がぱーっと思い浮かんだ、とも言います。
TRPG時代の名残か、上司は女性、部下は男性という構図が自分の中でスタンダードでして。
実際にこんな上司さんいないよなー、とか思いつつも、本当ノリだけで……(遠い目)
お題すべて、この2人でいくかどうかはまだ未定です。
ちょっと人様の意見を聞いてみたいと思いつつ。
支倉くん、受難体質(女難体質?)かもしれないと思いつつ。
さらっと読んでいただける物になっていると願って。
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