Something old, something new,
Something borrowed, something blue,
And a sixpence in her shoe.
古いものに 新しいもの
借りたものに 青いもの
花嫁のくつには 6ペンス銀貨
見上げれば、空はいつでも私の上にあった。
海は目の前に広がっていた。
そして、左手のリング。
それなのに――

「結婚しよう。二人で幸せになろう」
はにかむように言葉を紡いだ、あなたの顔。
照れているようで。
でも少し凛々しくて。
ああ、この人の花嫁に、妻になるんだ。
そんな気持ちが自然と胸に染み渡っていったのを覚えている。
幸せな、あたたかな気持ちって、こういうものなんだろうな、と感じた。
「あなたと共に歩めるのならば……」
応えた私を、あなたは嬉しそうに見て、そして抱き締めてくれた。
優しい温もり。
力強い腕。
どれもが愛しくて。
あなたとの幸せを、永遠を願っていた。
それなのに――
私たち二人を分かつのは時ではなかった。
私たちの『血』が、互いを分かつ。
「人と異形が、わかりあえるはずもない」
「棲む世界が違うのだよ」
「先に寿命を迎える人間を、本当に愛せるのかしら?」
「永い時を生きる我ら。人の生など、ほんの瞬きの時間に過ぎぬ」
皮肉にも一族の言葉は的中する事となる。
ほんの些細な事故がきっかけで、あなたは永遠に帰らぬ人となった。
私は青い瞳を、永遠に失った。
あなたは海に眠った。
空と海に抱かれて眠った。
哀しみの蒼に抱かれた。
安らぎの青に抱かれた。
私を抱き締める腕は、もうない。
優しく囁きかける声もない。
あなたはもう、どこにもいない。
薄暗い空。
いつまでも降り続ける雨。
どこかからか、歌が聞こえた気がした。
Something old, something new,
(古いものに 新しいもの)
Something borrowed, something blue,
(借りたものに 青いもの)
And a sixpence in her shoe.
(花嫁のくつには 6ペンス銀貨)
左手のリングの内側にあるブルーダイヤは、私の涙色。
私のサムシング・ブルーはもういない……
End.
あとがき
突発性競作企画参加、第二弾っ。
今回、締切日に慌てて書き始めるという荒業をかましてしまいました。
良い子の物書きさんは絶対に真似しないでください。
「蒼」という色は、様々な事を連想させてくれる色であり、自分が好きな色でもあります。
それゆえなのか。
こだわりすぎていたのか。
なかなか書けずにおりました。
そんな折に思い出した「サムシング・ブルー」という言葉。
梅雨時のジューンブライドになぞらえて、それをモチーフにして書いてみました。
少しでも楽しんでいただければ幸いです(ぺこり
突発性競作企画「蒼」参加作品

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