豊饒と退廃が混在する時代
古を振り返らず、恵みを忘れた者たち
記憶から忘れ去られた、人ならざる者たち
古都、鎌倉
今なお神の息吹が眠る土地
そこに、探偵事務所はあった……
「――ふざけるな。何者であれ、命を弄ぶ事は許さん」
憂いを眼差しに閉じ込めし探偵、吉野慧(よしの・けい)
神の遣いたる八咫烏と共に、闇を歩く
古い詞と共に禍きモノの討ち祓う
「時折不安になる……なぜ私なのか、と」
月を見上げる漆黒の双眸には、決して浮かばぬ涙
その傍らには、誰もいない……
「つまらない……退屈は嫌いなのよ」
美貌の吸血鬼、悠(はるか)
金の炎と純白を身に纏い、夜を渡る
血色のピアスは繋がりの証
「あたしにはわかるの。あなたが同類だって事が」
惑いの微笑、紅唇から紡ぐ言葉
傍らに控えしは、雪の如き下僕(サーバント)が一人……
黄昏に交差する逢魔ヶ刻
闇を切り裂くのは、ひとつの詩(うた)……